以前、お世話になっていた栃木にある整体の先生の話。
腕はめっぽう良いのだが、無愛想な先生。
人見知りなのか、最初は無口なのだけれども、
だんだん打ち解けると、今までの無口がウソのように人懐っこくなって、
栃木弁でいろんなことを話してくれるようになった。
「頭は嘘つきだかんね(嘘つきだからね)。頭は信用しちゃいけないよ」
この先生、本当に腕が立つ。肩こり、腰痛等をこじらせた患者が、
県外からもやってくる。
彼が言うには、肩こりや腰痛も、あんまりひどくないときに治療に来れば、
すぐによくなる。
しかし、ほとんどの方が、こじらせて、痛くてどうにもならなくなってから、
治療に駆け込んでくるのだ。
痛みが初期の段階なら、すぐに治る。
ところがこじらせてしまっては、なかなか治らない。治療に長い時間がかかる。
そして、その間、ずっと痛い思いをしなければならない。
この先生曰く、どんな痛みにもかならず初期症状があるはずなのだという。
「なんかへんだなぁ」、「違和感があるなぁ」、と思ったら、
すぐに治療に来ればいいのに、大概の人は、自分で自分をごまかす。
「大丈夫、大丈夫、これはきっと気のせいだよ」
「まだまだ我慢できるから、大丈夫だよ」等々と頭がウソをつくのだ。
体は正直に、「痛いよ〜」、「何か変だよ〜」と正直に訴えているのに、
頭はそれを無視してウソをつくのだ。
その結果、痛みをこじらせた患者がどんどんやってくるというわけだ。
実は、これは、人間の心に言えるかもしれない。
心(無意識)は、「もう無理だよ」、「休みたいよ」と悲鳴を上げているのに、
頭(意識)は、その悲鳴をごまかして、「まだまだ大丈夫」とか、「こんなのへっちゃら」とウソをつく。
その状態が長く続くと、心(無意識)は耐えきれなくなって、
自分自身を守るために、強制的にさまざまなスイッチをOFFにする。
そのこじれた状態が鬱やパニック障害など、さまざまな苦しい症状を引き起こすのだ。
「なんか変だな〜」と気がついたら、早めのケアが必要なのは、
体も心も同じなのかもしれない。
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